精密和訳 Riot Van – Arctic Monkeys
やんちゃな行いは慎んだほうがよさそうです。特に相手が警察の場合には…。最後には住所と名前を押さえられて、顔面に一発お見舞いされることになるでしょう。
目次
どんな曲?
2006年にリリースされた、イギリスのバンド Arctic Monkeys の1stアルバム “Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not” の7曲目に収録されている曲。
内容サマリ – こんな内容が歌われてます
シェフィールド近くの街の、治安の悪い夜のシーンを描いた曲です。
- まだ飲酒できない歳の悪ガキたちが警察にちょっかいを出す
- 警察を本気にさせてしまい、追われる
- 最後には住所と名前を押さえられ、バンで連行される
曲はこちら – 聴きながら和訳を読もう
和訳してみた – 日本語訳はこちら
Riot Van – Arctic Monkeys
Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not (2006)
注釈 I.
- [動] roll up: to arrive at a particular place or event, usually late = 遅れながら到着する.
- [名] riot van: 暴動を抑えるための警察車両.
注釈 II.
- [名] truncheons: 警棒.
注釈 III.
- [形] silly: バカな,愚かな.
- [名] boys in blue: 警察官.
注釈 IV.
注釈 V.
- [動] roll up: to arrive at a particular place or event, usually late = 遅れながら到着する.
- [名] riot van: 暴動を抑えるための警察車両.
- [名] lad: 少年,若者.
- [動] wind (someone) up: からかう.
- [名] copper: (俗) サツ,おまわり.
- [名] crook: 犯罪者.
注釈 VI.
- [名] riot van: 暴動を抑えるための警察車両.
- [名] copper: (俗) サツ,おまわり.
- [名] chin: 下あご,あごさき.
解釈してみた – 結局どういうこと?
このアルバムは2006年にリリースされたもの。アルバムを通して治安の悪い夜の街のシーンが多く描かれています。このころ彼らは、シェフィールド北部のNeepsend という街のリハーサルスタジオに出入りしていたらしい。そこで怖い人たちをたくさん見てきたとインタビューで語っています。[1]
Alexいわく、「キャリアバッグを持った男がいて、まるで「この子に今日なにする気?」って感じだった。ギターをしまってたら、誰かが話かけてきて「それいくら?」って言われたり」とのこと。
“You’d see a bloke with a carrier bag or summat and it’s like, ‘What the fuck is he doing her at this time of the night?’ Or you’d be packing your guitars away and somebody’d walk past and be like ‘How much is one of them worth?”
NME – Arctic Monkeys – Who are the real life characters behind Alex Turner’s early lyrics?
曲は三人称視点で歌われており、話し手は悪ガキの中の一人でも、警察官でもありません。賞賛も批判もしないところが、特に初期のArctic Monkeysっぽいなと感じます。
- まだ飲酒できない歳の悪ガキたちが警察にちょっかいを出す
- 警察を本気にさせてしまい、追われる
- 最後には住所と名前を押さえられ、バンで連行される
Excitement sparks in the boys – 警察を見て喜ぶ悪ガキ
#1 – 1, 2行目
So up rolls a riot van, And sparks excitement in the boys機動隊のバンがやっと到着 少年たちは大興奮
- 機動隊が到着しているのに興奮しているのは、少年たちがそのような状況を楽しんでいるからでしょう。
Men with truncheons – 警察官
#2 – 1, 2行目
Got a chase last night from men with truncheons dressed in hats昨日の夜、追いかけられた 帽子を被って警棒を持った男たちから
- 少年たちは、警察官に追いかけられた描写です。
- 音源では They’d got a chase last night と聞こえる。主語はThey = 少年たち。
- 帽子に警棒を持った男たちは警察官です。(こんなイメージ)
そして、隠れる少年
#1 – 3, 4行目
And, please, just stop talking ‘Cause they won’t find us if you do頼むから、おしゃべりはやめろよ 静かにしてたら見つからないんだからさ
- 喋り声で、警察官に隠れているところを気づかれないように仲間内で注意している描写です。
- 建物の影なのか、茂みなのか。屋外のどこかに隠れている様子だと想像します。
Silly boys in blue – 警察をバカにする
#2 – 2行目
Oh, those silly boys in blue. Well, they won’t catch me and youなあ、あのバカな警察のやつら あいつらにはオレたちは捕まえられないだろ
- 隠れている最中に、自分たちを捕まえられないと豪語するシーン。
- “boys in blue”は青い服を着た男たち。警察官を指します。
お酒は18歳になってから
#4
“Have you been drinking, son? You don’t look old enough to me”「飲んでたのか?」「私にはキミは飲んでいい歳には見えないよ」
“I’m sorry, officer, is there a certain age you’re supposed to be? ‘Cause nobody told me”「すいません、飲むのに年齢なんて関係あるんです?」「誰にも何もいわれなかったから」
- 少年たちが警察官に捕まえらたシーン。
- 飲酒できる年齢が法律で決まっていることを知らない人っているのでしょうか。おそらく、捕まってもなお警察をからかっている描写だと思います。
- イギリスでは、飲酒は18歳からと法律で決まっています。(親が同伴している場合は16歳からOK)
- 警察が「酒飲める歳にみえないよ」と聞いていることから、少年は18歳未満と思われます。
Catch proper crooks – もっと悪いやつを捕まえろ
#5 – 2, 3行目
And these lads just wind the coppers up. They ask why they don’t catch proper crooksそして少年たちは警察官をからかう 「他の犯罪者を捕まえろよ」って
- 捕まった後、少年たちが警察に悪態をつくシーン。
- 「オレたちより、よっぽど悪いことをやっている犯罪者がいるだろ、そっちを捕まえろよ」ってこと。
- スピード違反で捕まった際に、「前の車もスピード出してましたけど、そっちは捕まえないんですか?」の論理に似ていますね。笑
なぜ、ちっとも気にしないのか?
#5 – 2, 3行目
They get their address and their names took. But they couldn’t care less.警察に住所と名前をおさえられた でも彼らはちっとも気にしない
- 少年たちが警察に住所と名前を白状しているシーンです。
- 「ちっとも気にしない」のは、少年が教育のない悪ガキだからです。
- 警察に捕まってもいい、住所や名前がバレてもいい、そんなこと知るかって感じなのでしょう。
- ヤンキーマインド。(ちなみにイギリスではヤンキーのことを chav といいます)
精読してみた – 解釈の根拠 & 1Point 英語講座!
英語的な表現や文法事項のうち、面白いポイントを紹介します。
A riot van rolls up. – 倒置
#1 – 1行目
So up rolls a riot van, And sparks excitement in the boys機動隊のバンがやっと到着 少年たちは大興奮
- A riot van rolls up, and excitement sparks in the boys. の意。
- 強調のために、S+V が V+S の順になることがあります。→ “I’m tired.” “So am I.”
- The Beatles の名曲 “Here comes the sun”も倒置ですね。普通なら、”The sun comes here.” (Hereは副詞。副詞は主語にならない。)
that much wrong – 副詞のthat
#2 – 3行目
We didn’t do that much wrongそんなに悪いことしてないけど
- 副詞の that は、物事の程度を表します。多くの場合はveryに読み替えることができます。
- that much wrong = そんなに悪いこと。
get their names took – get O 過去分詞?
#4 – 4行目
They get their address and their names took警察に住所と名前をおさえられた
- 意味の解釈は簡単なのですが、文法が難しいです。
- “They get their address and their names taken”とすると文法的に正しくなるのですが、なぜかtook。
- シンプルに”They get their address and their names”としても意味は同じ。とすると、後半部分は倒置?
- getが現在形で、tookは過去形なのも気になる…(解説お待ちしてます)
couldn’t care less – 全く気にしない
#4 – 5行目
But they couldn’t care lessでも彼らはちっとも気にしない
- 直訳すると、これ以上に気にしないことはできない。すなわち、今が最も気にしていない状態ということ。
おわりに
おまけ – Demoバージョンあります。
今回は、感想の代わりにおまけを乗せておきます。
この曲は、リリース前のDemoバージョンの音源がインターネット上に存在しています!こちらもかなり味わい深い音源になっているのでぜひ聞いてみてください。
Demoバージョンの解説記事はこちら。
参考
- RadioX – Is Arctic Monkeys’ When The Sun Goes Down their darkest track? (2023/7/10閲覧)
- NME – Arctic Monkeys – Who are the real life characters behind Alex Turner’s early lyrics? (2023/7/11閲覧)
- Oxford Dictionary of English
- ウィズダム英和辞書