精密和訳 You Only Live Once – The Strokes

You only live once. = 人生一度きり。YOLOと略される、英語圏のポピュラーな言い回しです。「人生一度きりだから、楽しもうぜ」という明るい曲ではなく、「色々な悩みや苦しみを抱えていかなければいけないけれど、それでも一度きりの人生、自分のものだ」といったニュアンスの曲になっています。

どんな曲?

2006年にリリースされた、アメリカのバンド The Strokes の3rdアルバム “First Impression of Earth” の1曲目に収録されている曲。

内容サマリ – こんな内容が歌われます

人生観がテーマの曲です。色んな性格の人がいて、色んな考え方を持って生活している。過度に批判的にならずに、うまくやっていけたらよいのに。

  • 世の中には色んな種類の人がいて、それぞれが自分の考え方を持っている。
  • 上手くやっていけそうな人も、ちょっと苦手な人も。
  • それぞれの人から目を背けずに、喧嘩せずに、上手くやっていきたい

曲はこちら – 聴きながら和訳を読もう

和訳してみた – 日本語訳はこちら

You Only Live Once – The Strokes
First Impression of Earth (2006)

#1

Some people think they’re always right
自分が常に正しいと思っている人もいる

Others are quiet and uptight1
静かで内気な人も

Others, they seem so very nice-nice-nice-nice, oh
あるいは、すごくいい人そうな人もいる

Inside they might feel sad and wrong2, oh, no
心の中では悲しみや罪を感じてたりしてね

注釈 I.

  1. [形] uptight: いらいらいした,内気な,不安な,怒った.
  2. [形] wrong: (規則や基準に照らし合わせて) 間違っている.

#2

Twenty-nine different attributes1
29種類の性格

Only seven that you like, oh-oh
好きなのは7つだけ

Twenty ways to see the world, oh
20の世界の見方

And twenty ways to start a fight, oh
そして、20の喧嘩の始め方

注釈 II.

  1. [名] attribute: 属性,特性.

#3

Oh don’t, don’t, don’t get up
立ち上がらないで

I can’t see the sunshine
太陽が見えないから

I’ll be waiting for you, baby
待ってるよ

‘Cause I’m through
もう大丈夫だから

Sit me down
座らせて

Shut me up
黙らせてくれたら

I’ll calm down
そしたら落ち着くから

And I’ll get along with you1
キミともうまくやれるよ

注釈 III.

  1. [句] get along (with someone): 仲良くする,気があう.

#4

Oh, men don’t notice what they got
男たちは何を得たのか気づきもしないけど

Oh, women think of that a lot
女たちはそれをよく考える

One thousand ways to please1 your man, oh
男を満足させるいくつもの方法

Not even one requires a plan, I know
そのうちで、計画を練らなきゃいけないものは1つもないよ

注釈 IV.

  1. [動] please: 満足させる.

#5

And countless odd religions too
それから、無数の変な宗教も

It doesn’t matter which you choose, oh, no
何を選んだって変わらない

One stubborn way to turn your back, oh
背を向けるための、強情な方法

This I’ve tried and now refuse, oh
オレも試したけど、もういらない

注釈 V.

  1. [形] countless: 無数の,数えきれないほどの.
  2. [形] odd: 奇妙な,普通でない.
  3. [名] religion: 宗教,信仰.
  4. [形] stubborn: 強情な,頑なな.
  5. [句] turn someone’s back (on someone/something): (人・問題に)背を向ける.

#6

Oh don’t, don’t, don’t get up
立ち上がらないで

I can’t see the sunshine
太陽が見えないから

I’ll be waiting for you, baby
待ってるよ

‘Cause I’m through
もう大丈夫だから

Sit me down
座らせて

Shut me up
黙らせてくれたら

I’ll calm down
そしたら落ち着くから

And I’ll get along with you
キミともうまくやれるよ

Alright
よし

Shut me up, shut me up
黙らせてくれ、黙らせてくれ

And I’ll get along with you
キミともうまくやれるよ

注釈 VI.

  1. [句] get along (with someone): 仲良くする,気があう.

解釈してみた – 結局どういうこと?

世の中には、たくさんの人がいてそれぞれの価値観や考え方がある。それらのせいで、時には対立したり、批判的になることもある。そんな時に、喧嘩したり、無視したりせずに、落ち着いて対話をするべきだ。

初期のストロークスと違って、少し大人になった印象です。

「世の中に存在する対立」→「男女関係の対立」→「世の中に存在する対立」の構成で歌われています。

  • 抽象的な話に始まり、具体的な話をして、最後に抽象的な話に戻る、という構成は他の曲でも良くある構成な気がします

007は二度死ぬ

曲のタイトル

You Only Live Once
人生一度きり

  • ポピュラーな言い回しです。
  • 特に関連がない気もしますが、語感が似ている007の You Only Live Twice が元ネタ説もあります。
    • 「007は二度死ぬ」は1964年に出版された、イアン・フレミングの長編小説。
    • 原題はフレミングが来日した際に「松尾芭蕉の俳句にならって」詠んでみたという英文俳句「人は二度しか生きることがない、この世に生を受けた時、そして死に臨む時」に由来する。
    • また英語の慣用句「You Only Live Once(人生は一度っきり)」のもじりである。

他人のことを理解することは難しい

#1

Some people think they’re always right
自分が常に正しいと思っている人もいる

Others are quiet and uptight
静かで内気な人も

Others, they seem so very nice-nice-nice-nice, oh
あるいは、すごくいい人そうな人もいる

Inside they might feel sad and wrong, oh, no
心の中では悲しみや罪を感じてたりしてね

  • 世の中には、色んな人がいる。良い人そうに見えても、意外と同じような悩みを抱いているかもしれない。
  • 自分が自分自身について考える時、無意識に自分こそが一般的な・平均的な人間だという前提を立てているのではないでしょうか。
    • ゆえに、自分より「自分が正しいと思い込んでいる人」や、自分より「静かで内気な人」がいるように見える。
  • (本当は皆少しずつ違う人間であるけれど)、それでも皆同じように「寂しさ」や、「自分がどこか間違っているんじゃないか」と感じることがあるんじゃないか。

他人には、他人の世界が見えている

#2

Twenty-nine different attributes
29種類の性格

Only seven that you like, oh-oh
好きなのは7つだけ

Twenty ways to see the world, oh
20の世界の見方

And twenty ways to start a fight, oh
そして、20の喧嘩の始め方

  • 「29種類の性格」とは、性格診断の分類。自分の好みは7種類だけ。おそらく残りの22種類とは上手くいかない。
    • 「あなたはアウトドア派?インドア派?」「冷静?情熱的?」のような質問に答えて、最終的に「あなたは XX タイプ。あなたに合う相手は、XX な人。」って出るあれを想像してください。
    • 最近だと、MBTI(16パーソナリティ)診断が有名ですね。
    • eHarmonyというマッチングサイトの性格診断が29種類らしい。(未検証。たまたまだと思いますが、意味は通っている)
  • 「20種類の世界の見方」というのは、自分が知らない残りの22種類(=ほぼ20)の性格の人が持っている世界の見方のこと。
    • その人たちとは、意見が合わないことも多いはず。だから喧嘩になる。

太陽が見えないから、立ち上がるな?

#3 1-4行目

Oh don’t, don’t, don’t get up. I can’t see the sunshine
立ち上がらないで 太陽が見えないから

I’ll be waiting for you, baby ‘Cause I’m through
待ってるよ もう大丈夫だから

  • 彼女と喧嘩になりそうな場面。しかし一時の感情に任せて批判し合うことをやめよう、というシーン。
    • ここでの get up は具体的な身体の動作を表しているわけではなく、「準備する」や「激しくなる、勢いを増す」といった抽象的な「起き上がる」を指している。
    • sunshine が見えない、は「今は悪天候である」「解決の糸口が見えない」といったところでしょうか。
    • 「キミのために待っている」のは、 落ち着くために時間を置こう、という提案。
    • もう大丈夫なのは、もう何回も似たような状況を経験しているから。(→文法解説も参照ください

上手くやるためには、落ち着くこと

#3 5-8行目

Sit me down, shut me up. I’ll calm down, and I’ll get along with you.
座らせて 黙らせてくれたら そしたら落ち着くから キミともうまくやれるよ

  • 自分もヒートアップしているシーン。
    • 座って、口論をやめて落ち着けば、きっと分かり合えるはずだ、ということ。

男は、単純?

#4

Oh, men don’t notice what they got. Oh, women think of that a lot.
男たちは何を得たのか気づきもしないけど 女たちはそれをよく考える

One thousand ways to please your man, oh, Not even one requires a plan, I know.
男を満足させるいくつもの方法 そのうちで、計画を練らなきゃいけないものは1つもないよ

  • 男女の恋愛関係について。総じて、男の方が女より、相手に満足してもらうために頑張ることが苦手、ということみたいです。
    • 二人が関係性を持つことで、何を得ているか?男は考えないけれど、女は考える。らしい。
    • 「私たちが付き合ってる意味って何?」みたいな話。だから女性を満足させることは難しいのでしょうか。
    • 話し手(Julian)の個人的な経験に基づく見解かもしれません。
  • しかし、男を満足させることは、簡単です。笑
    • 1000 ways は無数。そもそも方法は無限にあるわけです。
    • しかも、それらは計画を練る(=頭を使う)必要がない、簡単なものばかり。

人は皆、幸せになりたい

#5

And countless odd religions too. It doesn’t matter which you choose, oh, no
それから、無数の変な宗教も 何を選んだって変わらない

One stubborn way to turn your back, oh, This I’ve tried and now refuse, oh
背を向けるための、強情な方法 オレも試したけど、もういらない

  • 世の中に無数にある宗教も、幸福を追求しているという点で、何を選ぼうが同じ。
    • 宗教とは、半ば比喩的に用いられていると思います。個人がそれぞれ持っている正義や、価値観のこと。
    • (宗教家の方々から怒られそう…)
  • 自分が一つの考え方や価値観に固執すればするほど、他人の価値観を認めることができなくなります。
    • 自分も一度はそうしたこともあるけど、もうやらない。つまり、他人の価値観を認めていきたい、ということ。

精読してみた – 解釈の根拠 & 1Point 英語講座!

英語的な表現や文法事項のうち、面白いポイントを紹介します。

Some … , others … . – Aという人もいれば、Bという人もいる

#1 – 1, 2行目

Some people think they’re always right, Others are quiet and uptight.
自分が常に正しいと思っている人もいる 静かで内気な人も

  • 「自分が常に正しいと思っている人もいれば、静かで内気な人もいる」
  • 「Aという人もいれば、Bという人もいる。」の構文です。
    • Some people are good, others are not. = いい人もいるし、そうでない人もいる
    • people の部分は、人でなくても良い。
    • 集団が、厳密に二分されていなくても良い。

I’m though. – もう十分だ

#4

I’ll be waiting for you, baby ‘Cause I’m through
待ってるよ もう大丈夫だから

  • I’m done. や I’m finished. と似た表現。
    • 「終わった」「やり遂げた」「(もう十分)…した」の意味。
  • ここでは、「もう十分に、すれ違い・対立・喧嘩をした」という意味。
    • 訳は「もう十分に嫌なこと経験して、そのステージは乗り越えたよ」を短くしたくて「(自分は)もう大丈夫だから」としました。

おわりに

おまけ – demoバージョンあります。

Demoの方がエモいです。超おすすめ曲です。

デモバージョンの解説記事はこちら。

参考

  • Oxford Dictionary of English
  • ウィズダム英和辞書

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