精密和訳 You Only Live Once – The Strokes
You only live once. = 人生一度きり。YOLOと略される、英語圏のポピュラーな言い回しです。「人生一度きりだから、楽しもうぜ」という明るい曲ではなく、「色々な悩みや苦しみを抱えていかなければいけないけれど、それでも一度きりの人生、自分のものだ」といったニュアンスの曲になっています。
目次
どんな曲?
2006年にリリースされた、アメリカのバンド The Strokes の3rdアルバム “First Impression of Earth” の1曲目に収録されている曲。
内容サマリ – こんな内容が歌われます
人生観がテーマの曲です。色んな性格の人がいて、色んな考え方を持って生活している。過度に批判的にならずに、うまくやっていけたらよいのに。
- 世の中には色んな種類の人がいて、それぞれが自分の考え方を持っている。
- 上手くやっていけそうな人も、ちょっと苦手な人も。
- それぞれの人から目を背けずに、喧嘩せずに、上手くやっていきたい
曲はこちら – 聴きながら和訳を読もう
和訳してみた – 日本語訳はこちら
You Only Live Once – The Strokes
First Impression of Earth (2006)
注釈 I.
- [形] uptight: いらいらいした,内気な,不安な,怒った.
- [形] wrong: (規則や基準に照らし合わせて) 間違っている.
注釈 II.
- [名] attribute: 属性,特性.
注釈 III.
- [句] get along (with someone): 仲良くする,気があう.
注釈 IV.
- [動] please: 満足させる.
注釈 V.
- [形] countless: 無数の,数えきれないほどの.
- [形] odd: 奇妙な,普通でない.
- [名] religion: 宗教,信仰.
- [形] stubborn: 強情な,頑なな.
- [句] turn someone’s back (on someone/something): (人・問題に)背を向ける.
注釈 VI.
- [句] get along (with someone): 仲良くする,気があう.
解釈してみた – 結局どういうこと?
世の中には、たくさんの人がいてそれぞれの価値観や考え方がある。それらのせいで、時には対立したり、批判的になることもある。そんな時に、喧嘩したり、無視したりせずに、落ち着いて対話をするべきだ。
初期のストロークスと違って、少し大人になった印象です。
「世の中に存在する対立」→「男女関係の対立」→「世の中に存在する対立」の構成で歌われています。
- 抽象的な話に始まり、具体的な話をして、最後に抽象的な話に戻る、という構成は他の曲でも良くある構成な気がします
007は二度死ぬ
曲のタイトル
You Only Live Once人生一度きり
- ポピュラーな言い回しです。
- 特に関連がない気もしますが、語感が似ている007の You Only Live Twice が元ネタ説もあります。
- 「007は二度死ぬ」は1964年に出版された、イアン・フレミングの長編小説。
- 原題はフレミングが来日した際に「松尾芭蕉の俳句にならって」詠んでみたという英文俳句「人は二度しか生きることがない、この世に生を受けた時、そして死に臨む時」に由来する。
- また英語の慣用句「You Only Live Once(人生は一度っきり)」のもじりである。
他人のことを理解することは難しい
#1
Some people think they’re always right自分が常に正しいと思っている人もいる
Others are quiet and uptight静かで内気な人も
Others, they seem so very nice-nice-nice-nice, ohあるいは、すごくいい人そうな人もいる
Inside they might feel sad and wrong, oh, no心の中では悲しみや罪を感じてたりしてね
- 世の中には、色んな人がいる。良い人そうに見えても、意外と同じような悩みを抱いているかもしれない。
- 自分が自分自身について考える時、無意識に自分こそが一般的な・平均的な人間だという前提を立てているのではないでしょうか。
- ゆえに、自分より「自分が正しいと思い込んでいる人」や、自分より「静かで内気な人」がいるように見える。
- (本当は皆少しずつ違う人間であるけれど)、それでも皆同じように「寂しさ」や、「自分がどこか間違っているんじゃないか」と感じることがあるんじゃないか。
他人には、他人の世界が見えている
#2
Twenty-nine different attributes29種類の性格
Only seven that you like, oh-oh好きなのは7つだけ
Twenty ways to see the world, oh20の世界の見方
And twenty ways to start a fight, ohそして、20の喧嘩の始め方
- 「29種類の性格」とは、性格診断の分類。自分の好みは7種類だけ。おそらく残りの22種類とは上手くいかない。
- 「あなたはアウトドア派?インドア派?」「冷静?情熱的?」のような質問に答えて、最終的に「あなたは XX タイプ。あなたに合う相手は、XX な人。」って出るあれを想像してください。
- 最近だと、MBTI(16パーソナリティ)診断が有名ですね。
- eHarmonyというマッチングサイトの性格診断が29種類らしい。(未検証。たまたまだと思いますが、意味は通っている)
- 「20種類の世界の見方」というのは、自分が知らない残りの22種類(=ほぼ20)の性格の人が持っている世界の見方のこと。
- その人たちとは、意見が合わないことも多いはず。だから喧嘩になる。
太陽が見えないから、立ち上がるな?
#3 1-4行目
Oh don’t, don’t, don’t get up. I can’t see the sunshine立ち上がらないで 太陽が見えないから
I’ll be waiting for you, baby ‘Cause I’m through待ってるよ もう大丈夫だから
- 彼女と喧嘩になりそうな場面。しかし一時の感情に任せて批判し合うことをやめよう、というシーン。
- ここでの get up は具体的な身体の動作を表しているわけではなく、「準備する」や「激しくなる、勢いを増す」といった抽象的な「起き上がる」を指している。
- sunshine が見えない、は「今は悪天候である」「解決の糸口が見えない」といったところでしょうか。
- 「キミのために待っている」のは、 落ち着くために時間を置こう、という提案。
- もう大丈夫なのは、もう何回も似たような状況を経験しているから。(→文法解説も参照ください)
上手くやるためには、落ち着くこと
#3 5-8行目
Sit me down, shut me up. I’ll calm down, and I’ll get along with you.座らせて 黙らせてくれたら そしたら落ち着くから キミともうまくやれるよ
- 自分もヒートアップしているシーン。
- 座って、口論をやめて落ち着けば、きっと分かり合えるはずだ、ということ。
男は、単純?
#4
Oh, men don’t notice what they got. Oh, women think of that a lot.男たちは何を得たのか気づきもしないけど 女たちはそれをよく考える
One thousand ways to please your man, oh, Not even one requires a plan, I know.男を満足させるいくつもの方法 そのうちで、計画を練らなきゃいけないものは1つもないよ
- 男女の恋愛関係について。総じて、男の方が女より、相手に満足してもらうために頑張ることが苦手、ということみたいです。
- 二人が関係性を持つことで、何を得ているか?男は考えないけれど、女は考える。らしい。
- 「私たちが付き合ってる意味って何?」みたいな話。だから女性を満足させることは難しいのでしょうか。
- 話し手(Julian)の個人的な経験に基づく見解かもしれません。
- しかし、男を満足させることは、簡単です。笑
- 1000 ways は無数。そもそも方法は無限にあるわけです。
- しかも、それらは計画を練る(=頭を使う)必要がない、簡単なものばかり。
人は皆、幸せになりたい
#5
And countless odd religions too. It doesn’t matter which you choose, oh, noそれから、無数の変な宗教も 何を選んだって変わらない
One stubborn way to turn your back, oh, This I’ve tried and now refuse, oh背を向けるための、強情な方法 オレも試したけど、もういらない
- 世の中に無数にある宗教も、幸福を追求しているという点で、何を選ぼうが同じ。
- 宗教とは、半ば比喩的に用いられていると思います。個人がそれぞれ持っている正義や、価値観のこと。
- (宗教家の方々から怒られそう…)
- 自分が一つの考え方や価値観に固執すればするほど、他人の価値観を認めることができなくなります。
- 自分も一度はそうしたこともあるけど、もうやらない。つまり、他人の価値観を認めていきたい、ということ。
精読してみた – 解釈の根拠 & 1Point 英語講座!
英語的な表現や文法事項のうち、面白いポイントを紹介します。
Some … , others … . – Aという人もいれば、Bという人もいる
#1 – 1, 2行目
Some people think they’re always right, Others are quiet and uptight.自分が常に正しいと思っている人もいる 静かで内気な人も
- 「自分が常に正しいと思っている人もいれば、静かで内気な人もいる」
- 「Aという人もいれば、Bという人もいる。」の構文です。
- Some people are good, others are not. = いい人もいるし、そうでない人もいる
- people の部分は、人でなくても良い。
- 集団が、厳密に二分されていなくても良い。
I’m though. – もう十分だ
#4
I’ll be waiting for you, baby ‘Cause I’m through待ってるよ もう大丈夫だから
- I’m done. や I’m finished. と似た表現。
- 「終わった」「やり遂げた」「(もう十分)…した」の意味。
- ここでは、「もう十分に、すれ違い・対立・喧嘩をした」という意味。
- 訳は「もう十分に嫌なこと経験して、そのステージは乗り越えたよ」を短くしたくて「(自分は)もう大丈夫だから」としました。
おわりに
おまけ – demoバージョンあります。
Demoの方がエモいです。超おすすめ曲です。
デモバージョンの解説記事はこちら。
参考
- Oxford Dictionary of English
- ウィズダム英和辞書