精密和訳 Is This It – The Strokes
「これがそれ?」フタをあけると期待していたものと全然違っていた…。一度は経験があるのではないでしょうか。少年から思春期を経て、大人へ。あの頃に思い描いた自分になれていますか?「あれ、人生ってこんなもんだっけ」というヤングアダルトなあなたには、この曲がぴったりです。
目次
この曲は

2001年にリリースされた、アメリカのバンド The Strokesの1stアルバム “Is This It”の1曲目に収録されている曲。
バンドも曲もあまりに有名で疑問に感じませんが、デビューアルバムの1曲目、かつアルバムと同じ名前の楽曲にしては、超キャッチーな曲という感じではないところが、まさに、”Is this it?”「これがあのストロークスの曲なの?」って感じ。
どんな内容? – 聞く前に知っておきたい前提知識
付き合っている彼女と、なんだかうまくいかない。頑張ってるけど、その気持ちが全然伝わっていない。なんでわかってくれないんだよ。
作詞のJulianは1978年生まれで、2001年当時は23歳。ヤングアダルトな気持ちを歌っている曲です。”Is this it?”が抽象的であるがゆえに、彼女との関係性に対する問いかけともとれるし、「人生ってこんなもの?」という何だか大きなテーマに対する問いにもとれます。
- 彼女から気に入ってもらえるようにがんばってるのに、なんだか反応が思ったものと違う
- 彼女は男友達と楽しくやってるみたいだけど、気に食わない
- あいつらのせいで、彼女との関係が悪くなってるんだろ?
曲はこちら
歌詞対訳 – 和訳
Is This It – The Strokes
Is This It(2001)
#1
Can’t you see I’m trying, I don’t even like itやりたくないのにがんばってるのわかんない?
I just lie to get to your apartmentキミの家に行くためにウソついた
Now I’m staying there just for a whileそこでちょっとすごす
I can’t think ‘cause I’m just way too1 tired疲れすぎて考えられない
Is this itこれがそれ?
Is this itこれがそれ?
Is this itこれがそれ?
注釈 I.
- [強調] way too: I’m tired → I’m too tired → I’m way too tired.意味は同じ.
#2
Said they’d give you anything you ever wantedあいつらはキミの欲しいものなんでもくれるっていうけど
When they lied, I knew It was just stable1 childrenあいつらがウソついたとき、落ち着きのあるこどもが
Trying hard not to realize I was sitting right behind themがんばってオレが後ろに座ってるのを気づかないようにしているんだなって分かった
Dear, can’t you see? It’s them it’s not meわかんないか?オレじゃなくてあいつらだよ
We’re not enemies, we just disagreeお互い敵じゃない、意見があわないだけ
If I was like him, all pissed in this bar2もしオレがあいつみたいな奴だったら、バー酔っ払って
He changes his mind, says I went too far3やっぱり気が変わって、やりすぎたっていうんだ
We all disagree I think we should disagree, yeah意見があわないよな
注釈 II.
- [形] stable: (気持ち・感情などが)落ち着いた、しっかりした、動じない.Stable children = 落ち着きのあるこども。補:通知表に「落ち着きがない」って書かれませんでしたか?落ち着きのある子供を良しとするのはアメリカでも同じなようです。
- Pissed in this bar: ストロークスの歌詞を検索すると”All dissing his pa” = 「親父の文句をいう」が多く出てくるが、”pissed in this bar”の方が意味が通るのと、ライブではこのように歌っているように聞こえるので、こちらを採用した。
- [動] go too far: exceed the limits of what is reasonable or acceptable = 度がすぎる.
#3
Is this it?これがそれ?
Is this it?これがそれ?
Is this it?これがそれ?
Can’t you see I’m trying, I don’t even like itやりたくないのにがんばってるのわかんない?
I just lie to get to your apartmentキミの家に行くためにウソついた
Now I’m staying there just for a whileそこでちょっとすごす
I can’t think ‘cause I’m just way too tired疲れすぎて考えられない
歌詞を解釈する – 結局どういうこと?
彼女と付き合っているのに、なんだかうまくいかない。ウソをついて彼女の家まで来たのに、ちょっとすごすだけ。話し手は、もっと精神的な満足、あるいは日常的な満足を求めているのかもしれません。”stay for a while”は一晩を暗喩しているのかと思いました。
- 彼女と頑張ってるのに、うまくいかない
- もっと良い日常を彼女と過ごしたい
- 「これがそれ?」
#2では、彼女の男友達との関係について。男友達が、話し手について、悪口(when they lied)を仄めかしているのを見て、「まるでお利口さんな子供が落ち着きを装いつつ、後ろから自分に見られているに気づかないふりをしている」と思って、悪いのはオレじゃなくてあいつらだろ、と思っている状況。バーで飲みすぎて、騒いでるやつらと意見が合わなくて当然。
- 彼女の男友達は、どうやら自分の悪口を吹聴しているみたい
- 悪いのは、オレじゃなくてあいつらだろ?
- 「これがそれ?」
精読してみる – 英語を勉強しよう
平易な英語で書かれているので、今回はなし!
(リクエストあれば追記します)
おわりに
おまけ
なんとなんと、2018年のライブでArctic Monkeysがカバーしちゃってます。熱い。
The StrokesとArctic Monkeysの関係性については、いろいろ語りたいことがあるのですが、それはまた、別の記事に。
曲が始まる前に”As soon as we couldn’t think of a tennis song, so we’re gonna try this:” – 「テニスの歌が思いつかなかったら、これやってみようかな」と言ってます。この日はニューヨークのForest Hills Tennis Stadiumという場所でのライブだったために、「テニス関連の曲(おそらくTennis Court – Lordeを指している)を歌いたかったけど、すぐに思い出せないので、替わりにこっちを歌うね」という発言だったよう。The Strokesの曲が始まったためイントロのドラムが始まった時点で、大盛り上がり。観客の熱量がすごいです。
感想
うーん、わかる。10代の頃、こういうのあったなー!と共感できる方多いのではないでしょうか。ちなみに、この曲はバンドメンバーとの関係性のことを指している、あるいはロックという音楽についての隠喩になっている、などの解釈もあるようです。The Strokesの他の曲について記事を書くことがあったら、その際に深掘りできたらと思っています。
参考
- Oxford Dictionary of English
- ウィズダム英和辞書
- Paste Magazine – Arctic Monkeys Still “Want to be One of The Strokes,” Cover The Strokes’ “Is This It”